キーボード自作メモ

ちょっと前にErgodoxが流行ったけど、自分はあまりエルゴノミクスキーボードに興味がなかったので、普通のキーボードを自作した。

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世の中にはキーボード愛好家界隈というものがあって、Redditのr/MechanicalKeyboardsに行くと、いろいろな自作キーボードを見ることができる。キーボード愛好家界隈と言ったが、正確に言えばメカニカルキーボード愛好家界隈といったほうが正しい気がする。

キーボードの格

キーボードにはなんというか格みたいなものがある感じがしていて、これはぶっちゃけて言えばどれぐらいお金をかけたかによる感じがある。というかRedditのbuying_guideのコスト表そのままな感じがする。界隈の皆様方は”end-game”キーボードを追い求めて大量のキーボードを買っているようです。

buying_guideにあるように、最後の方になってくると、自作or東プレという選択肢になる模様。日本人からすると東プレというのは別にそこら辺で売っている2,3万のキーボードだと思うのだけれども、海外輸入すると輸送費とかいろいろ込めるともっと高くなるので、さらにプレミア感が出てきている感じがする。つまり、日本に住んで当たり前のように東プレのキーボードを使っていると、それだけでベースのキーボード格が上がってしまい、”end-game”を目指すにはつまり自作しか選択しがないということになる。ということで自作した。

キーボードを自作するとは

キーボードを自作するというのは大抵の場合そんなに難しくなくて、既に自作向けのキットが何種類か売られていて、オープンソースのファームウェアもあるので、PC自作とそんなに難易度は変わらない。必要なパーツは次の通り:

  • キースイッチ
  • キーキャップ
  • プリント基板
  • ケースその他

これに工作用にハンダがあれば基本的に完成。自分で基板作りたいとなると、もっと難易度が上がると思う。(自分はやらなかった)

キースイッチ

キースイッチは、バネがついてるスイッチがあって、2本電極が出てて、スイッチを押すとその2本が電気的に繋がるというパーツ。おおまかに言って(規格, 重さ, [Linear, Tactile, Clicky])の三軸で区別される。互換性の観点から分けてCherry、Alps、東プレの3規格ある。自作の際に選択できるのはCherryとAlps。Linear, Tactile, Clickyは文字通り押した感触で、Linearはバネみたいに押したら戻るみたいな感触、Tactileはおしたとき最後に押した感が出る、ClicklyはTactileから更にカチッという音や感触がでる感じ。それぞれの規格で重さ違いと押した感じ違いのスイッチが複数種類、Cherryの場合は複数社が出してる。mechanicalkeyboards.comの一覧が一番良くまとまってると思う。

この一覧、ゲーム用、タイピング用、総合で点数が付いているのだけど、なんとなくClickyなスイッチはタイピング用に人気ある気がする。しかし、実際に触ってみるとClickyなスイッチはタイプライターかというぐらいめちゃくちゃすごい音がして(というか多分タイプライターを再現するためのスイッチ)、しかも全体的に重め。こんなものをオフィスで長時間打ってたら他の人から白い目で見られた挙句、指がおかしくなりそうな気がする。いちおううるさいスイッチをちょっと静かにするためのO-ringというものも売っていて、これをスイッチにはめるとキーを下まで目一杯おしたときの音(底打ちしたときの音)が緩和される。

カタログ上のスペックをみてもいまいちよくわからないという人のために、色んな種類のスイッチをまとめたスイッチテスターみたいなものをいろいろ売っていて、それを先に購入してから決めるとよいかもしれない。自分は買った。最終的にGateron ClearというCherry互換の最軽量スイッチにした。ちょっと軽すぎたかもと思った。

ちなみに自作前に一枚テストで出来合いのMatias Linearのキーボードを買ったのだけど、キーを押したときの底が浅い感じがした。ちょっと人を選ぶかもしれない。

キーキャップ

キーキャップはキースイッチの上にはめる文字が書いてあるあの部分。キーキャップの裏のはめる部分がキースイッチの規格ごとに違うので、自分が選んだキースイッチのものを買わないといけない。そして、もしCherry以外のスイッチを選ぶ場合は、ほとんど選択肢がない。逆にCherryだったらめちゃくちゃ選択肢がある。また、自作ではないけど東プレのキーボードでキーキャップを変えたいという人向けに、東プレのキースイッチの上の部分だけをCherry互換にすることで、Cherry向けのキーキャップを使えるようにする互換パーツ、みたいなのもあったりする。キーキャップをはめる部分の違い以外にも、キーの高さについての規格もあって、Key Cap Family Specsによくまとまっている。

購入方法としては、普通に探すといろいろサイトが出てきて、有名ドコロだとpimpmykeyboardとかになる。また、Massdropというほぼメカニカルキーボード専門なんじゃないかと思えるKickstarter的なサイト(正確にはMassdropはGroupbuyなので、リスクは低めのはず)もあって、こちらのサイトでは期間限定少量生産のキーキャップセットが購入できたりする。

これらのキーキャップ、基本的にセット販売されており、ちょっとだけ変えるというのは難しい。例えば自分の場合見た目と一致させたいという理由でCapsLockサイズのCtrlキーが欲しかったのだけれども、これが含まれるセットはかなり限られる。pimpmykeyboardにそういうカスタマイズってできないの、とダメ元で問い合わせてみたけど、それはちょっと無理という返答が返ってきた。

キーキャップにはサイズや、DSAとG20以外では行の概念があるため、きちんと確認しないと「あれ、このキーちょっと大きすぎてはまらない」「このキー、ちょっと高さがほかと違う」という問題が起こる。購入前にきちんと自分のキーレイアウトを決めておき、それをカバーできるセットになっているかを確認する必要がある。キーレイアウトは次のプリント基板によって大体の形が決まる。

プリント基板

キースイッチは2本電極が出てて押すと繋がるパーツだった。プリント基板はその2本の電極を電気的に謎のICチップまでつなげるためのパーツ。つまり、指でスイッチを押すと2本の電極が繋がるので、それをICチップがなんとか検出し、USBを通してキー入力とするということになる。という仕組みなので、実際のところ電気的に繋がればプリント基板じゃなくても適当に導線をチマチマつなげていけばよいし、それをするのが一番レイアウト的な自由度が高い。しかし、自分でフレームを作る必要があったり、超細かいパーツをハンダ付けしなければいけなくなったりと、「ハンダ付けだけのお手軽電子工作」レベルから一気に難易度が上がるので、自分は出来合いのプリント基板セットを買った。

市販されているプリント基板も探すといろいろあるっぽいのだが、イマイチ良い一覧が見当たらなかった。おおまかに分けて(1)tmk_keyboardやその派生のqmk_firmwareがサポートする基板と(2)クローズドソースの書き換えツールが配布されている基板の二種類がある。(1)は適当にキーマップを定義しているヘッダーファイルを書き換えてmakeすればいいだけでお手軽だった。(2)はソフトウェアがだいたいWindows専用っぽい感じがしたので避けた。(1)のファームウェアのドキュメントにサポートしている基板一覧みたいなのがあるので、そこからたどっていくのが良いのではないだろうか。

プリント基板には、サポートしているスイッチの種類(CherryかAlpsか)とサポートしているレイアウトというものがある。スイッチの種類が限定されるのは、その2種類のスイッチの電極の位置とかいろいろが違うという理由から。基板によってはレイアウトを工夫することで両対応しているやつもある。例えば自分はClueboardを買ったのだけど、これはCherryとAlpsの両方のスイッチをサポートしていて、さらに行ごとに可能なレイアウトが紹介されている。これをもとにKeyboard Layout Editorで自分のキーレイアウトを決め、それをベースに購入可能なキーキャップを決めた。

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ちなみにMassdropを見ているとごくごくまれに新しいキーボードキットが出ることがある。これらは期間限定だったりして、再度入手はなかなかできない。余程人気があると再販、または通常販売される場合もある。

ケースその他

キースイッチ、キーキャップ、プリント基板だけあれば、あとははんだづけすればキーボードとしてはとりあえず動作するのだが、それ以外にもケースなどが実用的には必要になる。

いわゆる60%というテンキーと矢印当たりの部分とファンクションキーが省かれたキーボードの場合、各種サイトやMassdropでケースが売っているのでそれを使うことになると思う。自分は普通のサイズではなかったので、一緒に販売されていたケースを買った。

キースタビライザーもぜひ購入しておきたい。スペースやShift、Enterのような比較的大きいキーに対して真ん中にキースイッチをおいただけでは、端っこを押したときにバランスが悪くなったり、うまく反応しなかったりする。これを避けて打鍵を安定させるためにダミーの何もしないキースイッチもどきの役割を果すのがスタビライザーになる。これは種類が2種類しか無いはずなので適当に買えば良い。スタビライザーの足の部分のうち半分が実は特に役割がなく、これらの遊んでいる足の部分が打鍵感を悪くする(らしい)ので、スタビライザーの足を一部切ったりするということもするらしい(した)。

より軽く、スムースなキーを目指して潤滑剤を購入するのもよい。潤滑剤は2種類あって、スタビライザーの潤滑剤とキースイッチの潤滑剤がある。スタビライザーにはそこそこ粘度がある潤滑剤を使用し、キースイッチには粘度が低い水みたいな潤滑剤を使用する。r/MKのLubing Switchesによくまとまっているのだが、多分紹介されている商品の殆どが日本で入手するのが難しいのではないだろうか。スタビライザーの潤滑剤は、どうやらミニ四駆とかで使うグリースが使用できるっぽい。

もし、日本に住んでいて良いキースイッチ向けの潤滑剤がほしいのであれば、ぜひともRO-59を試してもらいたい。RO-59とは以前スムースエイドという名前で販売されており、一時期全く一般販売されておらず、業務用として大量に購入するしか方法はなかったと思う。しかし現在少量(といってもキーボード向けとしては一生分ある)で販売されており、値段も3000円前後と超オトクっぽいので、キーボードマニアの方々にはぜひ挑戦していただきたい。

このスムースエイド、自分が大学生のときは非常に欲しかったのだが、入手方法が見当たらなかった。研究室に結構な数のHHKBがあり、サーバー室においてあって乾燥していたからなのか、研究室の環境が劣悪だったのか、軒並み打鍵感が悪くなっていた。キースイッチに対してよく市販されている粘度の高い潤滑剤を使用することもできず、なかなか悔しい思いをした。社会人になってキーボードの自作をしてみたら、あの憧れであったスムースエイドが手に入るようになった。それが今度は日本でしか入手できず、自分はいまアメリカにいるという、悔しい事この上ない。多分輸入はできるけど、途中で接収されるかもと思うとあまり踏ん切りが付かない。よくよく考えてみると、自分の手元に乾燥したHHKBがあるわけでもないので、入手してもあまりメリットは無いのだが。

完全にオプションだが、キーボード自作界隈の人たちはキーボードのUSBケーブルもかっこいい奴が良いらしく、ナイロンのアミアミUSBケーブルをみんな使っている。市販のプリント基板のほぼすべてが絶滅危惧種のUSB miniBを使っているので、そういったイケイケケーブルを見つけるのは難しいが、Amazonで1つか2つ見つけたのと、Massdropで一時期販売されていた。

組み立てなど

組み立ては適当に動画などがYoutubeに上がっているので、それを見れば良い。自分は動画で確認して、Clueboardの組み立てマニュアルを読んだうえでハンダ付けをした。適当に会社においてあったハンダごてを使ったのだが、中学生以来やったことのなかった自分でも1時間ぐらいで終わった。


いろいろ探すと自作向け情報はたくさん出てくるので、市販のキーボードに満足できなくなった方々は是非、自作キーボードに挑戦してもらいたい。

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